1. はじめに
ロボット機器をリハビリテーション分野における活動機能回復に用いる試みは世界中で行われている。我が国の得意分野であるこうしたロボット技術が実用化され、広く普及して人々に恩恵を与えるためには、新規技術面の研究成果にとどまらず、装置としての安全性と臨床医学的有効性も併せて評価されなければならない。
リハビリテーション分野における活動機能回復をめざした装置導入の狙いは、装置の作業理論に基づきながら、従来、セラピストの訓練された感覚に依存していた活動機能に関する知識を定量的な情報とすること、また、その情報に基づいて装置の定量的な出力を実現することにより、リハビリテーションの再現性・正確性を高め効率化を図るとともに、セラピストら医療従事者への負荷を低減することにある。
本評価指標は、活動機能回復装置について安全性と有効性を科学的根拠に基づいて適正かつ迅速に評価するために留意すべき事項を示すものである。
2. 本評価指標の対象
本評価指標は、疾患により低下した活動機能を回復させるハードウエアとソフトウエアを含んだ活動機能回復装置に適用されるものである。先行している神経機能修飾装置に関する評価指標(平成22年12月15日付け薬食機発1215第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知別添 2)と関連はあるが、本評価指標の対象は周辺環境及び自身のセンシングをもとにアクチュエータを介して運動出力をもたらすものとし、最終的に四肢体幹の運動制御を中心に活動機能改善を期待するものとする。
本評価指標における活動機能回復装置とは、基礎的な作業理論を組み立て、活動情報データの定量化を行うもので、身体・認知機能及び身体構造の回復そのものを目的とするだけでなく、最終的に生活の活動、社会への参加を支援し、生活機能を向上させるために、病院・施設・在宅など生活空間で使用する装置等を指す。
開発する活動機能回復装置が医療機器に該当するか判断し難い場合は、必要に応じ厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室に相談すること。
3. 本評価指標の位置づけ 本評価指標は、技術開発の著しい医療機器を対象とするものであることを勘案し、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示している。よって、今後の更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ改訂されるものであり、申請内容に関して拘束力を有するものではない。製品の評価にあたっては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性をもって柔軟に対応することが必要である。なお、本評価指標の他、
国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。
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