1. はじめに
コンピュータ診断支援(Computer-Aided Diagnosis:以下CAD)とは、X線画像に代表される放射線画像をはじめとする医用画像に対して、コンピュータで定量的に解析された結果を「第2の意見」として利用する「医師による診断の支援」である。CADの目的は、病変候補位置の情報をマーカで医師に示すことによって病変の検出を支援すると共に、がん病巣の悪性度等の病変候補の特徴に関する定量的なデータを医師に示して鑑別診断を支援するものである。
本評価指標は、コンピュータ診断支援装置の特に画像情報処理ソフトウェア部分について安全性と有効性を科学的根拠に基づいて適正かつ迅速に評価するために留意すべき事項を示すものである。
2. 本評価指標の対象
本評価指標は、医療用ソフトウェアのうち装置に付随するものであって、以下のCADe又は
CADx機能を有する製品を対象とする。
開発するコンピュータ診断支援ソフトウェアが医療機器に該当するか判断し難い場合は、
必要に応じ厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室に相談すること。
(1) CADe (Computer-Aided Detection)
画像上で病巣が存在する候補位置をコンピュータが自動検出し、その位置をマーキングする機能を有するソフトウェアが組み込まれている装置であり、コンピュータにより医用画像データのみ又は医用画像データと検査データの両方を処理し、病変又は異常値の検出を支援するものである。
(2) CADx (Computer-Aided Diagnosis)
CADe機能に加え、CADxは病変候補に関する良悪性鑑別や疾病の進行度等の定量的なデータを数値やグラフ等として出力する機能を有するソフトウェアが組み込まれている装置であり、診断結果の候補やリスク評価に関する情報等を提供して診断支援を行うものである。
3. 本評価指標の位置づけ 本評価指標は、技術開発の著しい医用画像工学・計算機科学等を対象とするものであることを勘案し、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示している。よって、今後の更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ改訂されるものであり、申請内容に関して拘束力を有するものではない。製品の評価にあたっては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性をもって柔軟に対応することが必要である。なお、本評価指標の他、国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。
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