ガイドラインID |
2012-E-RE-017 |
発出年月日 |
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発出番号 |
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WG名 |
再生医療分野 細胞シート開発 WG |
制度名 |
医療機器等開発ガイドライン策定事業(開発ガイドライン) |
製品区分 |
再生医療・遺伝子治療 |
分野 |
再生医療 |
GL日本語版ファイル |
2012-E-RE-017 細胞・組織加工品の研究・開発におけるヒト細胞・組織の搬送に関するガイドライン2012 |
英文タイトル |
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GL英語版ファイル |
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GL:イントロ・スコープ |
1. 緒言
ヒトの細胞・組織は、通常の化学物質とは異なる特性を有しているので、搬送に当たり、細胞・組織の品質を安定に維持できる保存条件、搬送条件の実施要領は、その特性に十分配慮したものである必要がある。細胞・組織加工品の品質に関しては、細胞数ならびに生細胞数、形態学的特徴、生化学的指標、免疫学的指標、特徴的産生物質その他適切な遺伝型あるいは表現型、細胞の純度、菌・細菌・ウイルス・マイコプラズマ等の汚染の有無、エンドトキシンの有無、効能、力価を検討する必要があり、取扱には細心の注意をはらう必要がある。また、細胞・組織加工品は、温度、酸化、光、イオン強度、せん断のような環境因子に特に敏感であるため、生物学的活性を維持し、死滅等を回避するには、一般に厳密な搬送条件、搬送手段を必要とする。細胞・組織の搬送にあたり、これらのことを勘案した上で、その安定性を保証する適切なデータを作成するとともに、細胞・組織加工品の力価、純度及び品質に影響を及ぼすさまざまな外的条件がどのようなものであるかを考察する必要がある。ここで考えられる搬送としては、製品の研究・開発の段階で、培養条件等を検討するために、入手したヒトの細胞・組織を培養施設に搬送する場合、製品化後の搬送条件を検討する場合が考えられる。
2. 適用範囲
本ガイドラインは「細胞・組織加工品の研究・開発」を行うに当たり、生きた細胞・組織(凍結、常温問わず)を他施設に搬送する場合に適用する。なお、既に骨髄移植や血液移植等で搬送に関する運用が確立されている原料については、本ガイドラインの対象とはしない。
なお、本ガイドラインは、薬事法に基づく承認審査の観点とは別に、細胞・組織加工品の研究・開発を円滑に進めるうえで有用と考えられる、搬送に関して留意すべき事項を掲げたものであり、製品化に当たって、これらの事項のすべてが承認審査において必要となるとは限らず、また、これら以外の事項が必要となる可能性があることに留意すること。
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GL:本体 |
3. 用語の定義
・滅菌(sterilization):病原性、非病原性を問わず、すべての種類の微生物を殺滅し、または除去し、対象物の中に微生物が全く存在しない状態を得ることをいう。
・清浄度グレード A:清浄度クラス 100 レベルの作業環境(日本薬局方に準じる)
・清浄度グレード B:清浄度クラス 10,000 レベルの作業環境(日本薬局方に準じる)
・清浄度グレード C:清浄度クラス 100,000 レベルの作業環境(日本薬局方に準じる)
・一次容器(内容器):フラスコやマイクロチューブ、T-フラスコ、ディッシュなど、細胞が直接触れる容器のこと。
・二次容器(外容器):細胞が入った一次容器を収納し、かつ、無菌性維持を目的とし、外界から遮断できる機能を有する容器のこと。
・外装梱包:温度維持を目的とする断熱容器と蓄熱材(もしくは保冷材)を組み合わせ、また、緩衝材料で外部からの衝撃を緩和する機能を有し、取っ手やショルダーベルトなど、搬送時に落下を最小限に防ぐための機能を有する容器のこと。
4. 一般的要件
(1) 原料であるヒト細胞・組織、および、ヒト細胞・組織加工品に直接触れる容器、培養器具は滅菌されたものを用いること。
(2) 原料であるヒト細胞・組織、および、ヒト細胞・組織加工品の搬送に供する搬送溶液等は滅菌されたものを用いること。
(3) 搬送容器は、一次容器、二次容器、外装梱包により構成されること。ここで、必要に応じ、一次容器は、その機能を二次容器にて担保することで省略することができる。
(4) 取り違い防止を施した搬送容器であること。
(5) 原料であるヒト細胞・組織に対する各種容器内への収納は、あらかじめ決められた環境下にて実施すること。
(6) ヒト細胞・組織加工品の一次容器および二次容器への収納は清浄度グレード A 環境内で行うこと。
(7) 搬送品の受渡しに関する責任者を予め決定しておくこと。
(8) 搬送工程管理の責任者を予め決定しておくこと。
(9) 逸脱時の報告体制を予め決定しておくこと。
(10) 搬送中にヒト細胞・組織への X 線照射がないようにすること。
5. 温度管理
凍結状態、培養状態に関わらず、搬送中の温度をモニタリングできる環境を構築する。
5.1 凍結状態
凍結状態で細胞・組織を搬送する場合は、二次容器に対してドライアイスまたは液体窒素入りドライシッパーを用いて凍結状態を確実に維持できる環境を構築すること。
5.2 培養状態
フラスコに培地を満たした状態で液漏れがないことを確認し、二次容器に対して適切な温度の範囲を維持できる環境を構築すること。
6. 搬送容器
外装梱包に用いる容器は二次容器に対して下記の要件を満たすものを用いる。
(1) 外気温の影響に関する事項がバリデーションされる容器を用いること。
(2) 衝撃加速度に耐えることがバリデーションされる容器を用いること。
7. 搬送の工程管理
(1) 温度モニタリング等を行い、確認、記録すること。
(2) 許容される温度範囲等、事前に定めておくこと。
(3) 搬送時の振動および衝撃による影響についてはリスク評価を行うこと。
(4) 搬送作業者が、特定の認定者(教育訓練を受けた者)の場合、何回かの実施確認にて、特定の施設間、搬送手段に対して限定して、バリデーションとすることができる。
8. 搬送品の受け渡し確認搬送品の受渡し時に下記の項目を確認し、記録すること。
(1) 二次容器が封印されており、破損・液漏れがないこと。
(2) 搬送時間があらかじめ定められた範囲内であること。
(3) 搬送中の温度があらかじめ定められた範囲内であること。
(4) 一次容器内の搬送溶液等が適切であること。
9. 搬送作業者のトレーニング搬送の実施者(二次容器から外装梱包を行う者、実際に搬送を担当する者)に対してあらかじめ少なくとも以下の事項に関する教育訓練を実施すること。
(1) 一次容器収納の標準作業手順
(2) 二次容器収納の標準作業手順
(3) 外装梱包の標準作業手順
(4) 搬送時の標準作業手順
(5) 搬送品の受け渡し時の標準作業手順
(6) 容器の取り扱いについて
(7) 逸脱事項への対処について
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GL:付属資料 |
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引用関連規格 |
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国内関連GL |
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海外関連GL |
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WG開始年月 |
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WG終了年月 |
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WGメンバー |
座長 浅野 茂隆 早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 教授
牛田 多加志 東京大学大学院 医学系研究科 教授
梅澤 明弘 国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター センター長
菊池 明彦 東京理科大学 基礎工学部 材料工学科 教授
紀ノ岡 正博 大阪大学 大学院工学研究科 教授
小久保 護 澁谷工業株式会社 プラント生産統轄本部 再生医療プロジェクト 部長
小寺 良尚 愛知医科大学 医学部 教授
髙木 睦 北海道大学大学院 工学研究院 教授
田村 知明 オリンパス株式会社 研究開発センター 医療技術開発本部 医療事業システム開発部 システム開発1グループ グループリーダー
西野 公祥 川崎重工業株式会社 技術開発本部 システム技術開発センター 基幹職
畠 賢一郎 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 常務取締役 研究開発部 部長
平澤 真也 日本エアーテック株式会社 代表取締役 社長
水谷 学 株式会社セルシード 開発部門付部長 (出向先:東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
山本 宏 三洋電機株式会社 ヘルスケア部門 バイオメディカ事業部 企画部 担当部長
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報告書(PDF) |
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報告書要旨(最新年) |
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承認済み製品(日本) |
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承認済み製品(海外) |
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製品開発状況 |
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Horizon Scanning Report |
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