無菌接続インターフェース設計ガイドライン2012

ガイドラインID 2012-E-RE-018
発出年月日
発出番号
WG名 再生医療分野 細胞シート開発WG
制度名 医療機器等開発ガイドライン策定事業(開発ガイドライン)
製品区分 再生医療・遺伝子治療
分野

再生医療

GL日本語版ファイル

2012-E-RE-018 無菌接続インターフェース設計ガイドライン2012

英文タイトル
GL英語版ファイル

GL:イントロ・スコープ

1. 序文
再生医療用途での細胞調整は、人手による作業に頼る割合が多くなり、作業者からの微生物汚染を防ぐ対策が非常に重要な課題となる。このためアイソレータ技術を採用した先進的な培養システムの構築が試みられている。一方、本技術を採用した場合、多様な無菌操作への対応には、装置間を無菌的に脱着することが可能なインターフェースが求められる。
従来の医薬品製造設備では、RTP(Rapid Transfer Ports)またはDPTE(Double Porte de Transfert Etanche)を用いた接続システムが知られているが、インターフェース形状が円形であり、装置間の接続ではより汎用性のある機構が求められている。
本開発ガイドラインは、接続部において多様な形状を持つ装置間における、接続インターフェースを設計するための方針を規定する。また、関連する除染、オペレータに対するトレーニング、日常管理などについても記載する。

GL:本体

2. 用語
無菌接続インターフェース(Aseptic transfer interface):物品等の無菌移載を目的とし、無菌性を損なうことなく複数の無菌チャンバーを接続する装置。
アイソレータ技術(Isolator technology):隔離された空間において、除染により局所的な無菌環境を達成・維持する技術。
除染 (Decontamination):再現性のある方法により生存微生物を除去し、又はあらかじめ指定されたレベルまで減少させることをいう。
微生物(Microorganism):一般に、細菌、真菌、原虫、ウイルス等を総称するものであるが、この指針においては細菌及び真菌を指す。
無菌(Sterile):生育が可能な微生物が存在しないことをいう。
無菌チャンバー(Aseptic chamber):無菌操作を目的とする道具及び装置を収容する筐体(アイソレータを含む)。
滅菌(Sterilization):病原性、非病原性を問わず、全ての種類の微生物を殺滅し、又は除去し、対象とする物の中に微生物が全く存在しない状態を得ることをいう。
消毒(Disinfection):対象物の表面に付着した微生物を安全なレベルまで減少させ又は除去すること。
無菌操作(Aseptic processing):微生物及び微粒子を許容レベルに制御するために、供給する空気、原料及び資材、構造設備並びに職員を管理した環境下において無菌医薬品に係る製品の無菌充てんその他の作業を行うことをいう。

3. 一般要件
1) 無菌接続インターフェースの設計においてはシステムの構造、除染を含む運転条件に関するリスク評価を行い、結果を仕様に反映すること。
2) 無菌接続インターフェースは、無菌チャンバーの無菌性を維持できる構造とすること。
3) 無菌接続インターフェースは、使用する除染剤に耐性のある素材を使用すること。
4) バリデーションの結果を基に、無菌接続インターフェース脱着作業に係る手順書を作成すること。

4. 除染
1) 無菌接続インターフェースの除染対象エリアは適用する除染剤に対して最も抵抗性を示す微生物を対象とし、その減少をバリデーションしたものであること。(一般的には芽胞の6ログの減少が適用される。)
2) 除染剤としては一般的に過酸化水素蒸気が使用されているが、これに限ったものではない。過酸化水素蒸気以外の除染剤としては、過酢酸のミスト又は蒸気、オゾンガス、二酸化塩素ガス等である。
3) 除染中の温度、湿度及び除染剤濃度が許容された範囲であること。
4) 除染中、除染剤の漏出により周囲作業環境、隣接する無菌チャンバー内の除染剤濃度が環境許容基準を超えないこと。
5) 除染工程の確立に当たって、又は日常の除染工程実施の際においては、以下の点を配慮すること。
ⅰ) 必要に応じて除染対象エリア内表面が洗浄され乾燥していること
ⅱ) 除染剤の投入量が予め定められた範囲であること
ⅲ) 適切なバイオロジカルインジケータを選択すること
ⅳ) 適切なケミカルインジケータを選択すること
ⅴ) 除染対象エリア及び周囲の温度が予め定められた範囲であること
ⅵ) 除染対象エリアの湿度が予め定められた範囲であること
ⅶ) 除染剤の暴露濃度が予め定められた濃度以上であること
ⅷ) 除染剤の暴露時間(除染時間)が予め定められた時間以上であること
ⅸ) 除染剤の拡散が均一であること
ⅹ) 予め定められた差圧が保たれていること
6) エアレーションプロセスがバリデートされていること。
7) 除染に使用するミスト、蒸気又はガスの特性、及びこれらの発生装置の運転を十分に理解した作業者がインターフェース脱着を行うこと。
8) 除染剤の使用前に、あらかじめ定められた除染剤の組成との同一性を確認すること。


5. 作業者のトレーニング
無菌接続インターフェースの使用に当たっての教育訓練には、少なくとも以下の事項を含むこと。
1) 無菌接続インターフェースの運転及び維持管理
2) 化学物質等安全データシートに基づいた除染剤の安全管理及び無菌チャンバーとの材料適合性
3) 脱着対象装置に特異な標準作業手順
4) 無菌接続インターフェース脱着作業のリスク評価

6. 日常管理
無菌接続インターフェースの日常管理には、少なくとも以下の事項を含むこと。
1) 除染を実施するときは、事前にリーク試験を行うこと。以下にリーク試験の例を示すが、リーク試験はこれらの方法に限らない。
① 圧ホールド試験(Positive Pressure Test: Guideline for Gloveboxes Second Edition
AGS-G001-1998, July 1998)
② ガス検出法(Oxygen Analyzer: Guideline for Gloveboxes Second Edition AGS-G001-1998,
July 1998)
2) 消耗資材について、維持管理のための計画を作成し、交換の時期を明らかにしておくこと。
3) 除染を実施するときは、除染に影響を及ぼすと考えられる適切な項目(例えば温度、湿度、ガス濃度等)について、あらかじめ定めた測定箇所において測定し、除染性能を確認すること。

7. 再適格性確認
再適格性確認及び結果の解釈に関する規定を予め定義すること。

GL:付属資料

引用関連規格

国内関連GL

海外関連GL

WG開始年月

WG終了年月

WGメンバー

座長 浅野 茂隆 早稲田大学 理工学術院 教授
牛田 多加志 東京大学大学院 医学系研究科 教授
梅澤 明弘 国立成育医療研究センター研究所 生殖医療研究部 部長
小久保 護 澁谷工業株式会社 再生医療プロジェクト 部長
小寺 良尚 愛知医科大学 医学部 教授
菊池 明彦 東京理科大学 基礎工学部 材料工学科 教授
紀ノ岡 正博 大阪大学大学院 工学研究科 教授
高木 睦 北海道大学大学院 工学研究院 教授
田村 知明 オリンパス株式会社 研究開発センター再生医療グループリーダー
西野 公祥 川崎重工業株式会社 技術開発本部 上級専門職
畠 賢一郎 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 取締役研究開発部長
平澤 真也 日本エアーテック株式会社 代表取締役社長
水谷 学 株式会社セルシード 技術開発部 部長
山本 宏 三洋電機株式会社 コマーシャルカンパニー バイオメディカ事業部 部長

報告書(PDF)

報告書要旨(最新年)

承認済み製品(日本)

承認済み製品(海外)

製品開発状況

Horizon Scanning Report